小説「ホルモー六景」

「鴨川ホルモー」が面白かったので、続けて購入。こちらも面白い!
 やはりこの著者の人物描写は面白い。

「第一景・鴨川(小)ホルモー」
 まるで「枕草子」の書き出しのように始まり、登場人物が定子と彰子。意気投合した二人が世の中のありとあらゆる記念日に常に一緒にいることを誓った筈なのに、定子に一条君という彼氏が出来る(笑)

 これ、一条天皇と藤原定子、藤原彰子がモチーフですな。

 そんな定子に仕えていたのが清少納言で彰子に仕えたのが紫式部。私に古文の面白さを教えてくれた高校時代の先生は「清少納言は当時としては致命的なブスであった」と推測していた。「ブスだからこそ才能を見せびらかすことで世渡りしていた」のだと。その先生は源氏物語の大ファンだったので、さもありなん(爆)

 閑話休題。

 彰子との記念日を反故にしての定子と一条君のデートは、定子と彰子のある交換条件によって成立するのだが・・・。

 確かにこの交換条件はえげつないな。一条君と仲直りできたのか、凄く気になる。一条君は定子の妹に手を出したりはしないよね(ぉ

 時系列的には「鴨川ホルモー」本編で安倍の物忌み中の出来事をメインとしていて、ラストが第四景と繋がっている。


「第二景・ローマ風の休日」
 凡ちゃん可愛いよ、凡ちゃん(*^-^*)

 “凡ちゃん”こと楠木ふみ、何気に自分の魅力を振りまいてますが、本人は自覚がないようで(笑)
 「あ、この人はこんな魅力があったんだ」と少年が気づいた時には恋心を抱いていた。でも自覚をした時には時既に遅し。ちょっと切ない失恋話。

 十七条ホルモーの決勝戦の前日、なぜ楠木が告白したのか、そして試合中、なぜ楠木が安倍をデートに誘ったのか、その理由がここで描かれている。告白は鈍感な安倍に憤慨した勢いというのもあるだろうが、デートの誘いはこの話があったからこそだね♪


「第三景・もっちゃん」
 序盤、読者をミスリードしながら話が進む。文体がちょっとパロディっぽいので「あれ?」と思いながら読み進めていたけれど、とある小説が出てきた時点で気づいた(謎)

 ラストに「四条烏丸交差点の会」後の“べろべろばあ”での宴会の参加者が90名になって、ホルモーのサークルがひとつ増えたことが示唆されている。そのサークルとは・・・。


「第四景・同志社大学黄龍陣」
 魅力的な登場人物の描写が楽しい万城目作品の中で、例外的に大して魅力のない馬鹿二人を中心に話が進む(爆)
 ってか、この二人は本当に馬鹿だろ?勉強は出来るのかも知れないが。

 芦屋が本当にどうしようもない、安倍よりもずっとダメ男なことがはっきりとわかる。が、元カノの山吹巴も大したことない(苦笑)

 話の方は、「HORUMO」の秘密に興味を持った山吹巴が、わけがわからないまま動きまわった結果「同志社大学黄龍陣」復活の3条件を満たしてしまう。3条件のひとつだけは意図して達成するけれど、残り2つはまったくの偶然で、そのひとつが第一景のラスト。

 まぁ、八百万の神々が5チームによるホルモーを見たかったんだろうな(笑)

 これにより、「四条烏丸交差点の会」後の宴会が10人増えた。誰が10人集めたのか、黄龍陣はどこから四条烏丸交差点に来るのか謎ではある(笑)


「第五景・丸の内サミット」
 登場人物4人が合コンする話。偶然再会を果たした京産大学玄武組・第四百九十八代会長の榊原康と龍大フェニックス・第四百九十八代会長の井伊直子の二人が学生時代のサークル活動について説明できないのはわかるが、読み進めていると井伊の同僚・酒井と榊原の同僚・本多も学生時代のサークルについてなぜか深入りしない。

 酒井と本多も何か秘密を共有しているんだなと思って読んでいるうちに理由がわかってくる。

 まったくの偶然から4サークルの東西サミットが実現したのも八百万の神々の意志か?(^^;
 そのうち、東西対決なんかも行われるようになるのかな?

 しかし、神社からお連れするオニは「神の使い」というイメージだけど、こっちのは(汗
 「17条ホルモー」の時に現れた黒いオニじゃないだろうね?

 丸の内は良く歩き回っているし、大手町のサンケイビルには何度も行ったことがあるけれど、この“オニの発生源”である祠がサンケイビルのすぐ近くにあったとは知らなかった。祠を掘り返そうとしたブルドーザーが横転して運転手が死亡した話はあまりに有名。

 こんな場所からお連れしたオニでホルモーやると呪われそうでこわい^^;

「第六景・長持の恋」
 こういう過去との文通はSFではベタな分野ではあるけれど、個人的には一番好きな話。なによりヒロインの“なきむしおたま”こと細川珠美が可愛い。貧乏苦学生ぶりが何とも微笑ましく魅力的だ(笑)

 なべ丸が字を覚えるにつれて、おたまへ伝える情報量が増えていくのも巧い。

 ちなみに珠美がバイトしている店が伏見の「狐のは」。「三角縁神獣鏡」に遭遇したのだろうか?(笑)

 高村がチョンマゲ姿になった理由も判明。ちゃんと意味があった!そして、何気に高村がとても良いヤツだと言うのもわかる。
 「鴨川ホルモー」本編ラストで高村が教習所でバイク免許と彼女をゲットしたことが描かれているが、最初からこういう構想があったのかな?

 高村の家は何かとリッチだからおたまちゃんも少しは生活が楽になっただろうね♪


 6話それぞれが面白く、「鴨川ホルモー」本編や各話間で繋がりがあって楽しめました。


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  • 小説 「ホルモー六景」 感想

    Excerpt: 小説「鴨川ホルモー」読んで映画も見てすっかり嵌ってしまったので「ホルモー六景」も Weblog: くまっこの部屋 racked: 2011-12-14 21:34
  • (書評)ホルモー六景

    Excerpt: 著者:万城目学 ホルモー六景(2007/11)万城目 学商品詳細を見る 京都の4つの大学、4つのサークルによって争われる「ホルモー」。『鴨川ホルモー』のその周囲での風景を収録した連作短編集.. Weblog: 新・たこの感想文 racked: 2011-12-15 17:51