映画「容疑者Xの献身」ガリレオは登場するが...

 やはり見に行ってしまいました。TVの福山雅治演じる「ガリレオ」のファンになって観に行きたいという娘に息子も観たいと言い出して、結局家内も入れて体育の日に家族全員で映画館へ。

 昼前の第2回を観に行こうと思ったら事前予約では4席を並びで取れないくらいの盛況ぶりで、早起きして午前9時前の初回上映に。


 映画の方はレギュラー陣は同一ながらTVシリーズととは一線を画し、きちんと映画作品として成立していた。TVスペシャル版では、わざわざ長澤まさみまで(無駄に!)参加してドタバタぶりを強調したゼミのメンバーが、映画では背景の一部と化してほとんど出しゃばらないのが良い。

 その一方で警察側がきちんと捜査本部を敷いて捜査にあたるシーンが加えられ、趣としては「探偵もの」から「刑事もの」となった。リアリティと緊張感を表現する上で良い演出だ。
 映画全体の光のトーンもTVとは異なり、映画らしく暗めになっている。フジテレビが人気シリーズを映画化した「踊る大捜査線」とはかなり異なる。

 そしてTVシリーズとの決定的な違いは、主役が堤真一演じる石神哲哉であること。TVシリーズの主役、ガリレオこと湯川学はある意味サイドストーリーである謎解きのために必要な助演となっている。これは原作と同じ位置づけである。

 約2時間の上映枠のなかで原作のすべてのエピソードを収めることはできないので、色々と省略はされているが、それでも監督、脚本、美術などができるだけ原作を忠実に再現することに注力していることがわかる。

 その結果、本作品は原作ファンとしても十分納得できる内容となっている。原作を読んでいなくても、読んでいても十分楽しめる作品だ。

 その辺の詳細は以下以下【ネタバレ】で



 先日のTVスペシャル版内でも放映されたクルーザー爆破のニュース映像から始まり(八木亜希子と石坂浩次がカメオ出演)、TVシリーズ初回で行ったレーザー光線装置の実験会場で大規模な実験が行われる導入部はまさにTVシリーズの延長。だが、これは「ガリレオ」と呼ばれる物理学者がどういう人物であるかを鑑賞者に説明するだけのシーン。

 ここまでは「TVの延長?」と思ったのだが、“本編”が始まってからすぐに映画に引き込まれてしまった。

 堤真一演じる石神哲哉が高架下の川沿いの道を歩いて職場へ向かうシーンが小説で読んだイメージそのままに再現されている!!

  そう思ったのも当たり前で、著者が描写した場所を実際に撮影していた。これで映画に引き込まれてしまった。

 さらに原作ではあっさりと描かれていた富樫慎二の殺害シーンは映像の利点を生かしてかなりの迫力。ここは原作以上に「富樫は殺されても当然」と思わせることに成功している。

 富樫慎二の死亡推定時刻に花岡靖子、美里母娘は完璧なアリバイがある。捜査に行き詰る警察。警察とは別行動で旧友との友情を暖めていた湯川学もあることに気づき...。

 石神の行きつけの弁当屋「みさと」で弁当を買って駅で別れる際「人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらが難しいか。ただし、 解答は必ず存在する」という問題を提示する湯川。

 石神は突然湯川を冬山登山に誘う。

 冬山登山のシーン。このシーンは映画オリジナルで、原作ファンとしては冗長に感じ、それより割愛したエピソードを加えて欲しかったと思える。

 しかし、原作を読んでいると「湯川にいずれトリックを見破られることを悟った石神が“自首”を決意し、最後の思い出作りのための登山だ」と思うが、原作を読んでない人は石神が湯川殺害を企てるのではとドキドキだったらしい(笑)

 それなりの見せ場ではあったということか。ちなみに斜面を滑落するのは福山雅治本人らしい。

 そして、内海に石神の勤務表を見せられ、草薙が石神から聞いたテスト問題作成のコツ「幾何の問題と思わせて、実は関数の問題」という言葉にトリックの全容に気づき、動揺する湯川。

 これに、石神の“ストーカー行為”に怯える靖子の三者三様の苦悩が重なる。そして石神の自首によってあっと驚く急展開から堤真一と松雪靖子が迫真の演技をするラストへ。

 もし湯川が普通の人間なら花岡靖子に真相を語らなかったかも知れない。しかし、石神と同様に湯川も真実を突き止めることをやめられなかった。

 推理ドラマの体裁を取っているので、当然種明かしは入るし、原作未読であればトリックにあっと驚くことになる。しかし、このドラマは「推理ドラマと思わせて、実は人間ドラマ」である。

 石神の花岡母娘への純愛、そして湯川の石神への友情。石神の愛の真実を知り懺悔する花岡靖子、人生を投げ打って捧げた愛が成就しなかったことに嘆く石神、最良の友を失ったことを苦悩する湯川。誰も救われないラストが悲しい。

画像
 EDで流れるKOH+の「最愛」が切ない。「vs.~知覚と快楽の螺旋~」に繋がず、フルコーラスで締めて欲しかった。

 少し残念だったのは、石神の“真実の愛”の描写が足りなかったこと。原作未読の家内は石神のストーカー行為が偽装であることがわかっていなかった。石神の愛の深さを理解していた娘の美里が起こす“事件”が映画では割愛されていたことも残念だった(確かに映画の流れでは唐突な事件に取られたかも?)

 それでも、期待以上の作品に仕上がっていて、十分満足できた。フジテレビだってやればできるじゃん(笑)



最愛(DVD付)
UNIVERSAL J(P)(M)
2008-10-01
KOH+

ユーザレビュー:
合いすぎているこの曲 ...
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容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)
文藝春秋
東野 圭吾

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とても面白かったです ...
トリックだけじゃなく ...
献身の意味がわかった ...
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